日野自動車が開発中の「標準電池パック」は、次世代の電気トラックや電気バスに搭載される高電圧バッテリーです。現在、日本国内では電気自動車ごとに異なる高電圧バッテリーが使用されており、互換性が低く、コストがかかるという課題がありました。今回開発中の標準電池パックは、車両の規格や用途に関係なく、同一の外形規格、強度、インターフェースを採用することで、互換性を高めました。
必要なバッテリー容量は、パックを並列に接続することで満たすことができます。1つの標準電池パックのサイズは、長さ1500mm、幅700mm、高さ300mmと設計されており、小型から大型のトラックやバスまで幅広く搭載可能です。縦横どちらの方向にも設置できるため、自由度が高いです。バッテリー制御ユニットは分離されており、外形はシンプルな直方体形状となっています。
現在は350V、70kWhのバッテリーセルを使用する計画ですが、将来的に技術が進歩すれば、同一の外形に容量の大きいバッテリーを搭載することも可能になります。そのため、車両のパッケージングや車体価格を維持したまま、性能を大幅に向上させることができます。標準電池パックの概念は、まるで規格化された乾電池のようなものです。単電池を直列に繋いで電圧を高めるように、標準電池パックを複数繋ぐことで、様々な車種に対応したシステムを構築できます。日野自動車は、この概念が電気トラックや電気バスの普及を促進すると期待しています。2028年頃には開発が完了し、自社車両以外にも他社への供給も検討しているとのことです。